上司が自己愛性人格障害者である場合

基本的に、上司が自己愛性人格障害者だった、

とか部署長が自己愛性人格障害を持っていた、

というのは珍しい話ではありません。

 

特に自己愛性人格障害者というのは

上の立場につきやすい、

あるいは社長として君臨しやすい傾向にあります。

自己愛性人格障害者というのはそのような

「上」の立場を非常に好み、また

そのために努力すること、他人を蹴落とすことを

厭わないからです。

あるいは能力を持っていなくても、

自分の上司に取り入る力は持っていたりとか、

そういう意味でも上に行きたいという

執念はすごいですから、

「自分は偉い立場にいるのだ」と

考えることさえできれば自己愛性人格障害者は

満足します。

 

そのために、有能になるよりも名文を得たい、

というだけで役職につきたがる場合もあるのです。

しかし自己愛性人格障害者が上司だった場合、

その部下は仕事がもう出来なくなるほど

つぶされていくのは避けられません。

自己愛性人格障害者というのはターゲットを

決め、そのターゲットを中心に

一気に精神的に追い込んでいきます。

しかも巧妙に、それが「正当な攻撃」であるかのように

仕向けます。

つまり、酷い個人攻撃をしているにも関わらず、

その攻撃をされている部下こそが

だらしなく、攻撃されてもしょうがない人間で

あるかのように周知するのです。

 

ですから、周りの人間も、

「怒らせたお前が悪い」という態度をとりがちであったり、

上司から潰されそうな部下を助けるどころか

一緒になって責める場合さえよく見られます。

それは、周りの人間が自己愛性人格障害者の

話を鵜呑みにし、部下がまるでそれだけ怒られるのも

仕方がないほどの失態をおかしたという認識でいたり、

自己愛性人格障害者が、部下の失敗を騒ぎ立てたり、

さらに失敗を暴き立てるような発言を

繰り返すからといえます。

 

ですから、

その攻撃を受けている部下というのは、たとえば

「実は地元の友人にこの職場の陰口を言って

この職場の評判を落とそうとしている」

「あの時、こんな悪口を言っているのを聞いた」

「あんな恥知らずな行動を繰り返して

なんの反省の色もみられない」

「ただ泣いているだけで毎回、

まともな意見を出そうともしない、

ただ精神的に不安定なだけ」

という評判でいることのほうが多いでしょう。

ただ自己愛性人格障害者や第三者の目の前で

失態を繰り広げるよう仕向けられたりしている

場合もあり、

本当はそこまで酷い人間ではなく、

ただ自己愛性人格障害者によってそういう評価に

貶められているだけです。

 

 

自己愛性人格障害者というのは

一人ターゲットを決めるだけではない場合も

多いですから、

集中的にいじめる相手を一人決めておいて、

さらにそのいじめている相手とつるんでいる人などを

執拗に攻撃したり、あるいは比較対象として褒め称える

ようにしたりして、

その集中的に痛めつける部下を孤立させるようにします。

また、自己愛性人格障害者にプライベートを

知られたりするのは非常に不愉快な思いを

するだけともいえます。

 

自己愛性人格障害者はプライベートの些細なことでも

攻撃の材料にしたり、あらぬ噂を広める材料にしたり

します。

ただ遊びに行ったとか家族旅行に行った、

というだけでも、

「お前はこの仕事もしないで遊びほうけていたのか」

と部下の仕事として与えられていないはずの

仕事をまるで「お前が聞いていなかっただけだ」

といわんばかりに責め立てたりするわけですから、

攻撃する手段など自己愛性人格障害者にとっては

いくらでもあるわけです。

 

自己愛性人格障害を持った上司というのは

自分が特別なのが当たり前で、

有能なのも当たり前、

また自分が慕われているのも当たり前だと

考えているので、

賞賛するというのは逆効果です。

なぜなら、分かりきっていることをわざわざ

口に出して言うということは、

嫌味を言っているようにも聞こえるからです。

ですから自己愛性人格障害をおだてようと思って

褒めようとしたとしても、

必ず思い通りの反応をするわけではないということも

覚えておいたほうがいいでしょう。

 

そして、部下から見た上司というのは

組織が大きければ大きいほど何人かいるかと

思うのですが、

部下が他の上司に仕事の内容を

相談しただけでも怒り出す自己愛性人格障害者も

います。

なぜかというと、自己愛性人格障害者というのは

「自分が一番で、自分が正しい」と思い込んで

いるので、

部下が自分ではなく他の上司に相談したと

いうことは、

その上司と比較して自分のほうが劣っていると

判断された、と勝手に決め付けてしまうのです。

ですから自分が選ばれなかった、

自分に相談しなかったということは

こいつは自分を信用していないということだ、

とまで考え、

そういう気持ちにさせた部下に対して非常に

憎たらしく感じてきます。

 

ですから自己愛性人格障害者以外にも

複数、上司がいたとしても、

相談する際は外に漏れないように

気をつけなければいけません。

また自己愛性人格障害者というのは、

無理難題を吹っかけようとして、結局

それが出来ないと相手が「無能である」と

判断しやすく、協力体制さえ見せないと

「上司の言葉を聞こうともしない、

職務放棄している、職場の輪を乱す」と

大騒ぎする可能性もありますので、

 

そういうどう考えても無理難題を吹っかけられる

時はボイスレコーダーを使用し、

あまりにも精神的に追い詰められるようなら

もっと上の立場の人間や組織長などに

その録音を元に直談判をしたほうが良いかもしれません。

 

自己愛性人格障害者の話を延々と聞いていたり

仕事に付き合っていたりすると

いつまで経っても職場から帰れなくなったり、

残業が当たり前になったりすることもあります。

特に、自己愛性人格障害者の場合一緒に仕事をしていると

仕事の話だけでなく自分の過去の自慢話や

自分がいかに能力を買われているかという

関係のない話まで、

相手が興味を持って聞いていると

勘違いして話すこともよくあります。

 

そして自己愛性人格障害者はそれを

「愛情である」

「相手が成長するための機会を

与えているだけである」

と考えていますから、

自己愛性人格障害者に対してそれはパワハラだとか

職権乱用であると言ってもほとんど効果はありません。

 

むしろ指摘すればするほど、

自分の評価を落とそうとする悪者として

部下をさらに攻撃しはじめるでしょう。

自己愛性人格障害というのは、

「これは組織のためにやっていることである、

自分は悪役を買っているのである」

「部下もいつかは分かってくれる」

「この指導は愛をもってやっている、

ここまで出来る人間は他にいない」

と思い込まざるをえない障害ですので、

 

部下からそういう風に言われたとしても

今度は「部下がいつまでも意図したことを

分かってくれない」

と被害者の顔になることもよくあるのです。