自己愛性人格障害者とは、ナルシストのこと

自己愛性人格障害者は

ナルシシストとも呼ばれます。

自己愛性人格障害者といわれても

ピンと来ない人も多いかもしれませんが、

ナルシストと聞くと

すぐイメージが沸くひとも多いでしょう。

 

すなわち自己陶酔に励み、自分を現実よりも

過大評価し、自分が本当はどう見られているか

客観視できない人、ですね。

つまり、ナルシストというのは興味や関心が自分にしか集中せず、

他人に興味や関心がないように見えます。

 

しかし、ナルシシズムというのは

「自分を誇大なものだと考え続けないといけない」

ということですから、

他人に興味や関心がないのは事実なのですが、

「他人に興味や関心を持っていて、

他人のことを常に考えていて配慮している」

というような態度をとります。

つまり、そういう他者想いの精神を持っていますよ、

というフリは非常に得意です。

 

あからさまに、「お前には興味ないや」

という態度は目の前では取りません。

いかにも他人の話を聞き、

他人のことを一番に考えているかのように

自分を紹介することもあります。

しかし実際はその「自分はあなたのことを

とても大切に想っていますよ」

「常日頃から心配していますよ」

という態度と実際の言動にあまりにも差が

激しすぎて、

被害者は戸惑うことがあるでしょう。

 

しかもナルシシスト・・・自己愛性人格障害者は、

実際に相手を思いやる行動は何も

起こしていないにも関わらず、

「いつでもお前のことを心配しているのに!」

といった様子で怒り始めることがあります。

自己愛性人格障害者は口だけで、

自分が何も相手のために行動していないことに

気づけません。

 

その口調はまるで

「お前のことを心配してやっているのに!

恩を返さないのか!」

「お前のことを心配しているんだぞ!

だから、こちらが心配に感じるようなことは

ただの一つもするな!」

と、行動を制限するための材料に

しているかのようです。

 

ナルシストというのは、

決まってこういう言葉を

吐くようになります。

自己愛性人格障害者・・・ナルシシストというのは、

いわゆる「うぬぼれ」とか

「鏡ばかり見ている気持ちわるいやつ」

という意味を指す言葉ではないのです。

立派な人格障害者といえます。

 

自己愛性人格障害者は

自分にうぬぼれるというよりは

自分の言動に自惚れる癖があります。

自分の言動というのは、上に記したように

「いつでもあなたを心配している」とか

「あなたを世界一愛している」とか

そういっていること、そう思い込んでいること自体に、

という意味です。

つまりいつでも他人のことを心配している・・・

という形をとりたいのは、

本当に相手を心配していることを

伝えたいのではなくて、

そういう自分に自惚れたいから

そういう思想になるということです。

 

ですからやたらと愛していると

伝えてくれたり、

プレゼントを必死にくれたり、

これはあなたのためにやったとアピールしたり、

とてもいろんな手を使って尽くしてくれます。

人が恥ずかしいと思ってやらないようなことでも、

一番最初はナルシストなら行ってくれます。

なぜなら、恥だと思う感情があまりないからです。

実際に自分にストレスがかかったり

手間になりすぎることは絶対にやりませんが、

それくらいなら行うことが出来ます。

それは意図的にターゲットを

引き込もうとしているというよりは、

そういう自分の尽くす行動に自惚れ、

そして相手をコントロールしたいという

意味合いを持ちます。

 

尽くせば尽くすほどナルシシストは

「自分に対する愛情が深まる」と

本気で信じ込んでいるところがあります。

そういうナルシシストの尽くす態度に

応えないと、ナルシシストは激昂するでしょう。

今までかけたお金を返せ、

自分がここまでしてやってるのに、

とまで言ってしまえることもあります。

自己愛性人格障害者は、ターゲットを簡単に

落とすことが出来ます。

尽くし方はとても深いですし、

何度でも愛の言葉でもてなしてくれるので、

ターゲットはまるで本当に

自分を愛してくれていると信じます。

これが特に自分に自信のないターゲットだったとしたら、

その自己愛性人格障害者の「愛」にすがりつく

ことになります。

ナルシシストというのは実際、

自分しか愛せず他人に興味がないような

姿とは違うのです。

あくまでも第三者からみると

しっかり他人に興味があって、

いつまでも他人に対する愛をもっている

人のようにみえます。

仕事熱心であるというような

印象さえ与えるでしょう。

 

 

 

ただナルシストはそれまでの

対人パターンと同じく

「仕事熱心である自分」に自己陶酔している

だけなので、

実際に仕事をしていなくても、

まったく稼いでいなかったとしても、

仕事にかける時間がかなり短かったとしても、

「自分は仕事熱心である」と思い込むのに

必死です。

また、他者よりも自分が優位に立ちたいと

思っているので、

弱者の手助けを進んでやることもあります。

 

弱者は、どこからどうみても

自分には勝てませんし、

そういう相手に優しくすれば、間違いなく

自分は善行をしている人間のように

感じることができるでしょう。

普通の人に優しくするよりも、

社会的にハンデがある人に対して

優しくするほうが、見栄えもいいからです。

そういう自分に対しても

うっとりとすることが出来ますし

正義ぶることができます。

そして、なんなら自分自身が

弱者になることも非常に上手です。

弱者になれば、自分自身がいたわってもらえることを

よく知っているからです。

ですからナルシシストは

自分が強者でいたいと願いながら、

必要があれば弱者として振舞うことも

必要になります。

 

 

自分がどうやったら弱者に見えるか?

ということも重要ですし、

可哀想な自分に対して自分自身が

いたわってやらなければ・・・と

思うことも大事なのです。

まるで自分が酷い目にあってきて、

非常に苦労してきたからのような

言い方でターゲットや第三者の

同情を買うような手段をとることもあります。

そのために、ナルシシストは

嘘をつきますし

話を大げさに盛ります。

自分が立派であるのと同時に、

強者であり、

思慮深い人間であり、

時には弱者でもなくてはならないからです。

 

しかしその多くの役割を果たせる人間は

いないでしょう。

それはお互いに矛盾してしまっているからです。

しかしナルシシストは非常に多くの

役割を自分で得ようとします。

ですからそのときに

嘘をつかなくてはなりません。

その嘘で、なりたい自分になれるように

自分自身を塗り固めていくのです。

またナルシシストというのは

自分を立派に見せてくれる鏡を欲している

ものですが、

その鏡の役割を果たすのは

ターゲットです。

 

ですから、ターゲットは

ナルシシストの本当の姿を

はっきり言うような人間ではなく、

ナルシシストがなりたいような立派な人間に

感じることのできるターゲットを選びます。

それは、自分にうってつけの鏡だからです。

ですが、自分のなりたい自分、の姿を

映し出してくれる鏡として

ターゲットを選んだのですから、

そういう「鏡」として生きてくれる

ターゲットだから愛しているということになります。

逆にいえば、

そういう鏡としての役割を果たさない

ターゲットなど、意味がありません、

ですからナルシシストは鏡が役割を果たさないときは

非常に怒り出すでしょう。

その怒りによって、

鏡が正常に役割を果たすように

仕向けているのです。

 

そしてナルシシストは、

鏡が目の前にあるときにだけ

はっきりとしたナルシシストになります。

特に何の関係もない人間が

いるような場所では、

その自惚れを抑えるような状態になることが

非常に多いのです。