自己愛性人格障害者の嘘の特徴

自己愛性人格障害者は、

自分がつく嘘を「嘘」であるという自覚がありません。

 

その仕組みを説明していきます。

 

自己愛性人格障害者(自己愛性パーソナリティ障害)とは、

自分の価値を過大評価しています。

自分の価値の低さというものから目をそらすために、

そういう心理防衛をとるのです。

 

自分の価値が低いと思っていればいるほど、

その自分を救うために自分の価値は高く、自分というものは

気高い人間なのだと思い込まざるをえません。

 

自己愛性人格障害者は、

自分に対して不当な評価をした人間に対して

嘘を振りまき、相手の評価を下げようとすることがあります。

 

そんな人が、他人から自分へ、みなと同じように評価されたら

どう思うでしょうか。

たとえば、王が平民と同じような扱いを受けたら

どう思うでしょうか。

無礼だと思い、その人を罰するかもしれませんね。

 

本当の地位の高い人であれば、罰せられても第三者は

おかしいとは思わないでしょう。

なぜなら、実際に王という立場の人間に対して

無礼を働いたその人が悪いからです。

 

ところが自己愛性人格障害者は、

「自分の立場がどういうものかに寄らず」

自分は尊い存在で誰も自分とは並べないのだと

信じています。

 

ですから、相手が自分に対してみなと平等に接している時点で

「自分に対する無礼」なのです。

しかし、周りの人はそれが当たり前だと思っていますから

なんとも思いません。

しかし、自己愛性人格障害者はいいます。

「あの人は八方美人だからなあ」「誰にでもいい顔をするんだよ。

評判だけはいいみたいだけど、そりゃそうだよね。

ああいう人間に騙されている人達が可哀そう」

と。

 

それは嘘でもなんでもなく、

自己愛性人格障害者が感じているその人の評価であり、

すべてです。

当たり前ですが「そう思いたい」という希望がそうさせます。

そう思う方が、自己愛性人格障害者にとって都合がいいのです。

自己愛性人格障害者の行動の前提には、

「どうすれば、自己正当化ができるか」

「(誰かと比較し)よりすばらしい人間になれるか」

「どうやったら、攻撃したり罰することができるか」

ということがありますから。

 

自己愛性人格障害者の本音は、

「なぜ自分を特別扱いしないのだ」ということです。

しかしその本音に、自身は気が付きません。

 

そして「八方美人なんだよ、あの人は」

と吹聴することは自分を特別扱いしない、つまり

自分に対してされた攻撃、に対する

報復と言えます。

 

しかし、それも自己愛性人格障害者は気づきません。

気づかない代わりに、

「自分がこう周りに言うのは、警告のため」

「みんながあの人に引っかからないように、

できるだけ周知しておかないと」

という理由をひっさげます。

 

 

また、空想の中の自分にとらわれているので、

彼らが話す自分自身というのは

だいぶ誇張されて出力されると考えたほうがいいでしょう。

 

ここらへんははっきりとした嘘も混じることも

とても多いです。

過去の自慢話、自分の職歴や学歴の話、

交友関係というのは

部分部分で嘘を交えたり誇張しがちです。

 

 

 

なぜなら過去の事というのは確認しようがなく、

また自己愛性人格障害者自身の中で

記憶の改ざんが行われていることもしばしばあります。

ただでさえ、人の記憶というのは曖昧なもので、

自分の都合のいいように解釈されがちですが、

彼らの場合はそれらの脚色や改ざんがあまりにも目立ちます。

 

何人友達がいて、いろんな人から

「あなたは才能があるなあ」とか一目置かれていた。

自分は試験ではいつも一番をとっていた。

いろんな経験をしていて、いろんな技能を持っている。

 

といいつつも、技能というと資格というわけでもないし

何と聞かれてもうまく答えられず、話を逸らす。

あるいはそれらしい話を持ってきて、ごまかす。

そういう話の誇張をしがちです。

 

誰かに対抗意識を燃やし、

貶めたいと思っているととにかく

周りに嘘を幾度となくつきます。

 

一度嘘をついてしまうと現実的に修正しなくてはならない

事柄が出てくるため、

そのつじつま合わせのために何度も何度も嘘をつかなくては

なりません。

 

自己愛性人格障害者というのは

それに対して、なんの罪悪感も持ちません。

 

それよりもまず、自分の危機をどうにかするほうが大事なのです。

自分の危機というのは、

「誰かに陥れられないか?」という疑心暗鬼、

「誰かが自分を攻撃しているのではないか」という被害妄想、

それらから身を守る必要があるということです。

 

それらの対処のために、

嘘というのは確実に必要になってきますし、

それが嘘であると自覚しない限りは

自分は無傷です。

 

ですから、自己愛性人格障害者は罪悪感を

感じることなく、嘘を次から次へと吐くことが

できます。

 

そしてこの嘘というのは、

自分でコントロールできない嘘です。

自分が意図して嘘をついているというよりは

虚勢を張るために、自動的に嘘をついてしまっているのと

同じです。

しかも嘘をついている自覚がないのですから、

「嘘をつかないでください」なんて言っても

「自分は人生で嘘なんか一回もついたことない」などという

非現実的なことを言い出すかもしれません。

 

モラハラというものに嘘も含まれますが、

モラハラというのはそういう意味で、

自己愛性人格障害者がコントロールできるものでは

ありません。

 

例えばボイスレコーダーに録音されてしまえば

簡単に嘘はバレてしまいます。

パートナーにバレるくらいでは、支配下においている

人間がやることですから飼い犬にかまれたくらいの

ことしか考えません。

しかし第三者に一気に周知されると、

さすがに自己愛性人格障害者も対処しようもないでしょう。

 

そういう意味で、自己愛性人格障害者自身が

嘘に振り回されてしまうこともない訳ではない、

ということです。

 

それでも嘘をつき続ける、自分が正しいのだと

思い続けてしまうのが

彼らの病的なところなのですが。