自分のことしか考えられない
自己愛性人格障害者を、
自己中だと表現する人も中にはいるでしょう。
自己中というよりは、
究極の自己中と言ってしまったほうが明解かもしれません。
自己中心的な人というのと、
自己愛性人格障害者のようにシステム的に
「自己中でなくては生きていけない」人というのは
心理的な働きが異なるからです。
自己愛性人格障害者を見ればわかるのですが、
彼らは自分と異なる価値観がこの世に存在する、
ということが全く理解できません。
自分と他人というものは曖昧で、
境界も曖昧だからです。
これは境界性人格障害者と同じですね。
自分の事しか考えられないのは、
「自分が考えている価値観以外の価値観も存在している」
という感覚がないからです。
ですから「自分も辛い」ではなく
「自分だけが辛い」と思っていますし、
それがなんの根拠もなく事実のように考えるのです。
誰かが自分に対して「辛いです」と言えば、
そんな感情を、他人が抱くことはあり得ない、
それは嘘だと決めつけます。
だから誰かも辛い想いをしている、というようなことを
自己愛性人格障害者が考える余地はありません。
なぜなら自己愛性人格障害者の中
存在しているのはただ一人、自分自身だけなのであり、
他人というものは見えてもいません。
自己愛性人格障害者の価値観だけが存在していればいいのです。
彼らは自分が他人に辛いというとき、
それは相手に同情させて誘導したいときであったり、
注目を引きたいとき。
そして辛い想いをさせているということで攻撃したいからです。
つまり、他人が辛いというときは、
相手が自分に対して誘導しようとしている、
何かを引き出そうとしている、
自分に対して攻撃しようとしているとみなします。
ですから、他人の辛さは「嘘」でしかないと考えるしか
ないのです。
そういう意味で、自己愛性人格障害者は
慈しみの心というものを一切持ちません。
あくまで自分中心、自分が主役として物事を
考える視点しか持ち合わせていないのです。
