小さいころに褒められまくると自己愛性人格障害者になる?

幼少期から褒めまくると、

自分の自己像が肥大して自己愛性人格障害者になる、

というような考え方もあるかもしれません。

 

しかし、

それは少し考えすぎかなと思います。

そもそも自己愛性人格障害者の

「幼児的万能感」というのは、

「強すぎる劣等感」から生まれるものです。

あまりにも自分がなさすぎて、

あまりにも劣等感・無力感が強すぎて、

それを打ち消すために強い優越感が必要

なのです。

 

褒められまくるから

優越感がどんどん肥大するわけでは

ありません。

褒められる場面ではどんどん褒めて

いいかと思います。

そうやって自己肯定感というのは

培われていくものなのですから。

 

ただ問題は、

褒められる場面でなくても

褒められたり、

しかられるはずの場面で

やたらと甘やかされたり・・・

というともちろん自己愛性人格障害者への

道を歩む可能性はあります。

 

それは、

子供ながらに親が自分に興味がないことに

気づくからです。

褒められる場面でなくても

やたらと褒められるというのは、

すなわち親がその子供をしっかり

見ていない(見たくない)ことをさします。

 

子供がどういう行動をとろうと、

親が「褒めておけばいい」という

考え方だと、

子供自身がこれはおかしな行動だと

分かるようなことをわざとしても、

親は厄介ごとを恐れて

ひたすら褒め甘やかします。

 

こどもは子供ながらに、

この親は自分に興味がなく、

自分の起こしている行動が

親に対してはどうでもいいような

行動でしかない、

ということに気づくのです。

 

ですから

こどもが劣等感を抱くというよりは

自分というものを持てない、

というところは共通していて、

自己像が確立しないのですから、

必然的に自分は曖昧な存在になり、

またそのこどもから見た

他人も曖昧な存在になってしまいます。

 

褒めまくる、甘やかしというのは

そういうことで、

別に子供を甘やかしてもいい、

褒めてもいい場面では

そうすることに何の問題もないのです。

 

問題は、

子供をみずに

ただただ自分が傷つきたくない、

こどもを見たくない、

こどもに嫌われたくない、

厄介ごとに首を突っ込みたくない、

いちいち怒りを表出したくない・・・

という気持ちで接することで、

結果的にこどもの自我を

無視し、

こどもの自我を確立させないことで

その子供の自己像が確立しない、

ということから起こります。

 

褒めまくるとか

甘やかすとかただ単純にそういう時間が

長いだけでは

自己愛性人格障害者になることはありませんが、

褒める場面でもないのに

ひたすら褒めまくる、

こどもに嫌われたくないから

こどもとずっとそばにいたいから、

などというこどもの独立性を

尊重しないような育てかたをしていると

こどもが自己愛性人格障害者になる場合は

あるでしょう。