自分は特別な存在だ、という心理

自己愛性人格障害者は

自分に対してまぎれもない自信を持っていますが、

それは裏に「自分に対する不信しかない」状態を

紛らわせるためのものです。

 

自分は特別な存在で、ほかの誰も自分に並ぶことはできない。

 

そういう考えである限りは、

自己愛性人格障害者は精神的に窮地に陥ることもないのです

だって、特別なはずの存在が、価値がないはずがない。

それだけで、生きている価値が高い人間なのですから。

 

そして自己愛性人格障害者とまではいかなくても、

劣等感の強い人、自己肯定感の低い人というのは、

優越感も強く、自分は特別な存在だという想いも

自動的に強くなります。

 

つまり、「自分は特別に優れた存在である」と考えることは、

「自分は特別に劣った存在である」と考えているのと一緒です。

その本心を隠すために、優越感があるのです。

なぜなら、劣等感だけ抱えていては心のバランスが

崩れてしまい、窮地に陥ります。

精神的な崩壊は、自分自身への崩壊にもつながります。

なぜ、体を傷つけられていないのに人は死ぬのか?といえば

精神的な危機というのは人を死に追いやることも

難なく可能だからです。

その精神的な崩壊、自己の危機を防ぐために、

防衛機制が存在するのです。

 

その防衛機制が、

その劣等感に対して「同程度の優越感を持たせて

心の均衡を保つ」という働きをしますから、

優越感が強ければ強いほど、劣等感も実は強い、

ということになります。

 

プライドという鎧を着て自分をがんじがらめにしている人ほど、

とんでもなく脆い自分を抱え込んでいるということです。