自己愛性人格障害者の恋愛感情の特徴
自己愛性人格障害者も恋愛をしますし
恋愛感情を持ちます。
ただ普通の人と異なるのは、
それが健全な恋愛感情とは
異なるということです。
健全な恋愛感情とはどういうことでしょうか。
愛し、愛されたい。
独占したい。
傷つきたくない。傷つけたくない。
時間を共有したい。
分かり合いたい。
こんなところでしょうか。
自己愛性人格障害者の場合、
対人的なところで問題が生じます。
それは、
「自分を偉大だと思わせてくれる相手に対して
恋愛感情（に似た感情）を抱き、
その相手に自分が偉大だと思い続けられるよう
行動を制限させたり思い通りにさせたがる」
ということです。
思い通りにさせたがるというよりは
思い通りにしないと、思い通りにならないお前は
おかしくて間違っている大罪人だ、くらいの
言い方をします。
それを、恋愛感情を抱いているはずの
相手に要求してしまうのですから
おかしいともいえると思いますが、
自己愛性人格障害者にとっては
なんらおかしいことではありません。
だいたい自己愛性人格障害者というのは、
思い通りに出来る相手に、
思い通りになってくれそうであればあるほど
強い恋愛感情を抱きます。
そうつまり自己愛性人格障害者の
恋愛感情というのは、
「思い通りになってくれそうだ」という
期待ともいえます。
その思い通りになってくれそうだ、
というのは自分にとって都合がよさそうだ、
この人の前なら偉大な自分で、すばらしい自分で
いられそうだ、
そう勘違いさせてくれそうだ・・・と
自己愛性人格障害者の心理として判断します。
それが、自己愛性人格障害者にとっての
ターゲットに対する強い恋愛感情に
変換されるということになります。
つまり自分の意に染まってくれそうな
相手であればあるほど、
自己愛性人格障害者は相手に対して
深い恋愛愛情を抱き、
とにかく猛アプローチを繰り返します。
このとき、
猛アプローチをするのは
ターゲットを落としたいからとか
そういう意味もこめられてはいるのですが、
大半は「その猛アプローチをして
愛を伝えている自分に浮かれていたいから」
ということにもなります。
自己愛性人格障害者も、
自分は深い愛情を持っていて
相手に尽くせる人間であるということを
自分で自覚したいのです。
そういう自己愛を満たすためだけの
パフォーマンスともいえます。
自己愛性人格障害者はそのためだけに
やたらと愛の言葉をターゲットに対して
投げかけます。
そうするとターゲットもそれを鵜呑みにし、
ターゲット自身もこんなに
自分を愛してくれる人はいないと
思い込みます。
自己愛性人格障害者にとって、
ターゲットというのはその時点では
「すばらしい愛の伝え方ができる
自分にしてくれる相手」であり、
そういう見方をしているうちは
ターゲットというのは自己愛性人格障害者にとっても
まるですばらしく、欠点のない相手のように
見えます。
ところが自己愛性人格障害者にとって
ターゲットというのは場合によって
「都合のわるい、惨めな自分」を
引き受けてもらう張本人ですから、
「すばらしい！こんなに愛せる相手は他にいない！」
という立場から、
ちょっと自己愛性人格障害者の
思い通りにならないだけで、
「裏切られた。どこが最高の相手だ。
こんなに酷い人間だと思わなかった」
という立場へと一気に転落します。
そうなると、自己愛性人格障害者が
恋愛対象として完璧とみていたターゲットが
一気に憎らしくなり、
攻撃を加えられることになります。
恋愛対象に対して
度々このように攻撃を加えたくなってしまうのは、
自己愛性人格障害者が「愛している」と感じているのが
ただ「思い通りにしてやりたい」という
支配欲だからである、という事実に他ならず、
ただ自分が「他人に対して深い愛情をかけられる自分」
として振舞いたいから愛の言葉を吐くだけ、
ということでもあるのです。
ですから自己愛性人格障害者の
恋愛感情は普通の恋愛感情とは異なり、
非常に高い攻撃性を秘めていて、
人によっては
「それは恋愛とは違うのでは？」
と指摘される要因にもなるのです。
