自己愛性人格障害は脳の障害なのか

自己愛性人格障害は脳の障害であるという

情報をちらほら見かけます。

しかし、これは正しくはありません。

 

自己愛性人格障害者は脳の障害・・・つまり

身体障害などの器質的障害ではなく、

精神障害に分類されます

つまり精神機能の障害なのです。

脳に障害を持つというのは、

たとえば脳梗塞とか脳出血とか

パーキンソン病とか、

脳そのものの病変によって

起こるものです。

脳外科で自己愛性人格障害

みれるかというと診れません。

 

なぜ自己愛性人格障害

脳の障害という人が出てきたか?というと

おそらく発端は「自己愛性人格障害者は

前頭葉の機能が低下している」という

情報が出回っているからと推測されます。

しかし、これも不確かな情報であり、

エビデンスがあるとは到底思えません。

いったい何例の自己愛性人格障害者を

どういう方法で脳画像を撮影し

(そもそも自己愛性人格障害者と診断された

人間に対して脳画像を撮るわけですから

自己愛性人格障害者自身に対する説明も

必要ですよね)、

しかもどのようにして研究対象にしたのか・・・ということが

まるで明確になっていません。

どこから出始めた情報なのかが

わからないのです。

 

それを、わからないまま引用してしまっている、

というのが現状だと考えています。

自己愛性人格障害者は抑制がとにかく

ききにくいですから

前頭葉機能低下があっても

前頭葉の萎縮があっても

おかしくはないと思うのですが、

そもそもそれが自己愛性人格障害

引き起こすわけではありません。

実際脳画像をみた時点でわかるような

前頭葉の萎縮があったり

前頭葉の障害を持つということは

先述のとおり抑制がききにくくなります。

注意力も失われます、

そうなると日常生活が通常どおり

行えなくなります。

 

当たり前に他に注意が払えないわけですから、

危機意識も低くなるでしょう。

そもそも安全に歩いたり、

車を運転することもできなくなってしまうでしょう。

脳の障害、前頭葉機能の低下というのは

そういうことです。

仕事どころか人の介助が必要になったり、

簡単な作業さえできなくなってしまうのです。

それはもはや自己愛性人格障害だけでなく、

他の障害を引き起こします。

ですから、自己愛性人格障害者のように

日常生活は問題なく行えて

仕事も遂行できるものの、

対人コミュニケーションのみに障害を持つ・・・

というのは

脳の障害には当てはまりません。

 

自己愛性人格障害はあくまで

精神の障害、

ことに自我が未成熟ゆえに

起こってしまう障害なのです。