他人の真似をする

自己愛性人格障害者は、

基本的に自分がありません。

自分がないということは

この世で生きている実感もないし、

生きている価値があるかどうかも曖昧なので、

その価値をつけるために、

「すばらしい自分」でいなくては

なりません。

 

別のこの世の誰もが、

すばらしい自分でなくても生きては

いけることを知っていますが、

自己愛性人格障害者の場合は

自分がなさすぎる、価値もなさすぎると

思い込んでいて、

それは絶対的価値がないと生きていてはいけない

という感覚が刷り込まれているせいで、

すばらしい自分という理想を

手放せません。

 

ですから、

すばらしい自分であるための

工夫をするわけです。

そのためのひとつの方策として、

「他人の真似をする」

ということがあげられます。

別に見た目を真似するとか

そういうわけではありません。

すばらしいと思った(世間から

すばらしいと思われるような)考え、

言葉、姿勢、行動、

それらを真似して生きていきます。

世間からすばらしいと思われるような、

あるいは特異な考え方というものを

非常に好み、

それを自分の中に取り込みます。

 

そうやって取り込むことにより、

自分に生きている価値があるように

感じるのです。

その真似・取り込みは一度では終わらず、

二度・三度、使い込むこともあります。

被害者や周りの人間は、

「よほどポリシーがあるんだな」なんて

騙されることもありますが、

たまにしつこいほど同じことを

言い続けることがあります。

そして他人の考えや生き方であるのに、

まるで自分発信の思想であるかのように

振舞うこともあります。

 

というよりも、取り込んだり

真似をした時点でそれは

自己愛性人格障害者自身のものに

なってしまいます。

 

マネしているのではなく、

そういう思想や考えはもともと

自分の中にあったかのように

感じることもあります。