健全な自己愛とは

自己愛、とはどういうものでしょうか。

自己愛というのは病的であり

危険なものなのでしょうか。

 

必ずしもそうとは限りません。

 

人というのは、

発達段階において自分に対する意識だけを

向けなくてはならない時期があります。

これこそが自己愛の段階ですね。

 

そこが満たされて初めて

他者愛、対象愛に意識を移すことが

可能となるのです。

 

ですから、自己愛というものは

本来健全な発達の途中に存在するものとも

いえます。

 

これは健全な自己愛の段階、

といえるでしょう。

この世に生きているものは皆、

この段階を踏むのです。

 

しかし自己愛の充足がなされない場合…。

多くは、充足を阻害する重要人物の存在により

心理発達、成熟がなされない場合、

 

人というのは自己愛から他者愛へ

発展する道筋を失います。

 

ここで、病的な自己愛へと

移行してゆくのです。

 

自己愛が充足されていないから、

自分で自己愛を充足せざるを得ず、

また自分の心の保持のために

そればかりにしか執着せざるを得ない。

 

正常な心理発達の機会を

損なったために、

いつまでも他者愛に移行することができない。

 

それこそが病的な自己愛の段階といえます。

 

自分を愛さなければいけない状態、

というよりも、

自分を愛することをいつまで経っても

やめられず、

しかしそれでも確かな自己というものを

確認できず、

他者への意識はほとんど

向くことのないまま

自分への意識ばかりを

強くしなくてはならない

状態ということになります。