自己愛性人格障害者の自己紹介

自己愛性人格障害者が周りに対して・・・

特にターゲットに対して行う批判というのは、

本当に「ターゲットに対して」怒っている

のではありません。

 

どういう意味かというと、

「ターゲットを通して見る、

自分自身の考え」に対しての怒りがあるのです。

 

それは、自己愛性人格障害者が

自他分離が出来ていないことに起因します。

このブログや他のサイトでも言うように、

「投影」というのは自分と他人の区別が

ついておらず、自分の善と悪を分離し、

多くは悪い自分のほうを相手に引き受けてもらう・・・

というものです。

 

しかし現実世界というものは

ご存じの通り人が人の考えを正確に把握することは

まずできません。超能力者ならできるかもしれませんが

一般の人間にはそもそも「他人がこう思っている」と

確信することは困難でしょう。

 

ところが投影の防衛機制を働かせる人間というのは、

「他人がこんな悪意を持っている」ということを

なんの根拠もなく、確信します。

そしてその確信というのは揺らぎません。

当たり前ですが、それは自分自身の考えだからです。

自分の考えなので自分の考えに確信を持つのは

当然ともいえますが、

「投影」を起こしている人間というのは

それが自分の考えであると気が付かずに、

さも相手がそう思っているかのように確信してしまいます。

 

現実世界としてはそういうことはあり得ないと

分かりきっていますが、

そのあり得ない世界こそが、自己愛性人格障害者にとっては

当たり前の世界なのです。

 

精神疾患になると、

「自分の考えが覗き見られている」

「自ら考えたアイデアが、誰にも言っていないのに

そっくりそのまま盗まれた。誰かが自分の思考を

抜き取ったのだ」

というような考え方をします。

 

自分の思考が抜き取られた、というのは

それもまずありえませんが、精神疾患があると

「そう感じる」、確信するということです。

 

現実世界ではそんなことはあり得ないよなあ、なんてことは

まず思いません。それくらいの強い確信であり、

そもそもそういう確信を持つためには現実世界のルールや

事実などは邪魔でしかありません。

 

 

そしてこれは、ターゲットにとっては

非常に不思議な感覚を持つきっかけとなります。

 

たとえばターゲットが、「もう来週は給料日のはずだけど、

今月も生活費を渡さない気なんだろうか・・・」と

悩んでいたとします。

 

そのパートナーは、ターゲットに生活費を渡さない上に、

生活費の話になると不機嫌になっていました。

そして食費からパートナーの趣味の費用まで

ターゲットが出しているような状態でした。

 

しかしターゲットが趣味にお金を使おうとすると、

パートナーは毎回口を出してきます。

「それってそんなに必要なの?」

「いいね、そんなお金があって」というような内容です。

 

毎回そういわれるので、

趣味もあまり楽しむことができず、自分のお金を

自由に使えないようになっていました。

その代わり、パートナーへの出費はどんどん

増えていきます。趣味費用、酒につまみ、洋服代。

 

しかしそれらの費用や生活費のことを言うと機嫌が悪くなるので、

試しに半年ほど期間をあけてみることにしました。

 

「よっぽど給料がないんだろうか、それとも

仕事で本当にスランプに陥っているんだろうか」

と悩んでいると、ある日パートナーは

不機嫌な様子で帰ってきました。

 

「あの職場の人間がああいうことをした。

胸糞悪い」

と、パートナーは憤慨しています。

その不機嫌な状態のまま、3日、4日と過ぎ、

給料日になっても生活費を渡すどころかそれに対して

触れようともしません。

 

ターゲットは悩みます。

生活費を渡してくれないと、今度は自分の貯金まで

切りくずすことになる。

今度車を修理に出すから出費も増えるのに、

車の事さえ触れようともしない。

修理に出す話もしたのに、まるでそんなお金のことなんか

気にもしていないような素振りしかみせない。

自分の趣味にも使えない。

 

ターゲットが悶々として、食事中、

「もうそろそろ、生活費がないとやって

いけないんだけれど」と話し出すと

パートナーはイライラした様子で

こう言いました。

 

「いちいちお金お金って毎回うるさいな。

仕事が安定してないって何度言ったらわかるの?

せっかく軌道に乗ってきてたのに。

どれだけ守銭奴なの?

お金をどんどん取られている気しかしなくて、

余計仕事に身が入らなくなるんだよ。

なんのために生きてるんだろうって最近思うよ。

ここまで言わないと気づかないの?

もうちょっとしっかりしてくれよ。

なんのための結婚なの、これ。

飯も安心して食えないのかよ」

 

と、パートナーは憤慨した様子で

席を立ち、ターゲットはまたか・・・といった様子で

肩を落としました。

 

 

ここまでがよくあるような一連の流れですが、

パートナー、つまり自己愛性人格障害者は、ターゲット自身のことを

「守銭奴」

「お金をどんどん取られているような気がする」

と言っています。

しかし、実際にお金を多く出しているのは

明らかにターゲットのほうです。

 

ターゲットは「お金をどんどん使われている」と思っているのに、

パートナーである自己愛性人格障害者も

「お金をどんどん取られている」と思っていて、

それを実際に口に出すことが多いです。

 

この時に、ターゲットは

「あれ?なんでこの人がお金を取られているって

感覚になるんだろう?」

と不思議に思うのですが、

「こちらから生活費の話をするからかもしれない」

とつじつまを合わせようとするのです。

 

つまり、「きっと生活費の話をしょっちゅう出すせいで、

金金金、と金のことしか考えていないように見えるのだ」

というつじつま合わせです。

自己愛性人格障害者もそういう風に言います。

しかし、それは事実ではありません。

 

実際は、

「自分がより多く相手から搾取しよう、金を出させようと

考えている」から、

それをターゲットに投影し、ターゲットがまるで

「こっちから金を出させようと画策している」というふうに

感じます。

そしてそれを批判するのです。

この批判こそが、自己愛性人格障害者の自己紹介です。

 

そしてそれを無理やり根拠づけるかのように、

生活費の話をしだすターゲットを「ほら!やっぱり

自分から金をとろうとしている!金の話しかしない!」

と思い込みます。

たとえターゲットが考慮して生活費の話を半年、一年

あけようとも同じです。

ターゲットに多大な借金をしていても同じです。

同じように、「金の話しかしない守銭奴め!」と批判をします。

 

その時点ですでに、自分の状況は見えておらず、

ターゲットの気持ちも見えておらず、ただただ

投影された自分の悪意しか見えていません。

そしてそれに対して怒りをぶつけるだけです。

それがそのまま自己愛性人格障害者の

自己紹介となります。

「俺の仕事を見下しやがって!」と言えば、

その本人が自分の仕事に劣等感を抱いていたり、相手の仕事に

偏見を持っているにすぎません。

 

このように、自己愛性人格障害者の自己紹介というのは

随所に現れます。

それは他者批判に見えて、自分自身の考えの投影による

批判をしているだけなのです。

 

つまり、批判はすべて、

「自分自身の自己紹介そのもの」ともいえます。