自己愛的怒りをわかりやすく表現するなら

自己愛性人格障害者は、

ターゲットが思いもよらないところから

怒りを感じ、その怒りを思い切り

ターゲットにぶつけようとします。

 

ターゲットとなった人は一瞬、

なぜ、この人は激怒しているのか?

自分は、そこまでの非常識な態度をとってしまったのだろうか?

と困惑してしまいます。

 

自己愛的怒り、自己愛憤怒というものは

ただの怒りではありません。

「自分の自尊心が傷つけられた」

「自らの存在意義を踏みにじられた」

と感じたときに起こるものです。

 

これというのは、別に自己愛性人格障害者でなくとも

起こりそうなものですね。

誰だって、誰かが自分のスペースにずかずかと入ってきたり、

自分を格下に見るような言い方をされれば

良い気はしません。

 

「あなたって、本当にくだらない人間なんだね」

と言われて、傷つかない人・怒りを覚えない人というのは

なかなかいないでしょう。

 

ところで、

「あなたってくだらない人間」と言われたときに、

言われた側の精神状態によってとらえ方や

怒りのレベル、悲しみのレベルというものは

ものすごく大きく変化します。

 

余裕のある人なら

「そんなこと言う人間こそくだらないな、

関わらないでおこう」と一蹴するかもしれません。

 

ただ普通の人なら

「なぜそんなことをわざわざ言うの?」

という気持ちになるのは当然です。

それは、自尊心を傷つけられたからと言ってもいいでしょう。

 

心に脆弱性を抱える人であれば、

この発言をとにかく根に持つかもしれません。

逆に、傷つきたくないから

「ああ、確かにこの人の言う通り、

自分はくだらないよなあ

(悪意を持っていっているのではなく、

私のために言ってくれているのだ)」と

思い込むこともあるでしょう。

 

自己愛性人格障害者ほどのレベルになると、

これらの発言を

「言われなくても」まるで言われたかのように

感じることがものすごくたくさんあります。

 

その誇大性の強さによって、

相手が自分のために働くのが当然と思っていたりするので、

相手が自分のために時間を割かなかったら?

それがたとえ理由があるものだったとしても、

自己愛性人格障害者にとってはないがしろにされているのと

同じです。

 

こうなると、「お前なんか時間を割く価値もないよ」

と言われているのと同じ気分になってしまいます。

ターゲットは決してそのようなことは考えてもいないのですが、

自己愛性人格障害者にとって相手が思い通りにならないことは

間違いなく、自分に対する攻撃、

しかも

「お前に時間を費やす価値がない」

「お前の思い通りにはいかない。なぜならお前は間違っているから」

と言われているような気分になり、

たったそれだけでも自己愛憤怒といって

独特の自己愛的怒りを起こします。