モラハラが洗脳と呼ばれる理由

モラハラやDVは、必ず

「なぜ逃げないの?」

「逃げない被害者にも原因がある」

という意見が述べられることが多いです。

 

その意見により、被害者はさらに追い詰められる羽目になります。

しかし、その意見も至極全うなのです。

なぜ逃げないの?

というのは当然です。なぜなら

モラハラやDVは逃げるしかないのですから。

 

モラハラ、DVというのは

被害者がどう転ぼうとなかなか

改善されるものではありません。

 

ですが、

「逃げればいいのに」

という意見を聞いて、

「そうだよね、逃げなきゃ」と思う

被害者はどこにもいません。

 

それはそれで当然の心理なのです。

そこには、支配されているから

そういう気持ちになれないとか、

命の危険があるから・・・といったような

単純な話では済まない要因がいくつも

絡み合い、

被害者はターゲットとして歩んでいくことを

「自ら」選び取るようになっています。

 

今回はそこについて

お話をしたいと思います。 

 

自己愛性人格障害者のターゲットに選ばれる人間というのは、

 

自分の苦悩よりも何よりも、

「モラル」を優先する人たちです。

 

むしろ、自分にはモラルを守ることしかとりえがない、

とさえ思っている人も中には存在します。

 

モラハラというのは徐々に周囲から

ターゲットを孤立させるものです。

ですから、逃げようか・・・・と思っているときには

すでに協力者が周りにいなかったり、

そもそも逃げてどうするのか、

何が変わるのか、

と被害者自身が思い込んでいることが多いのです。

 

すなわち、

「ものすごく辛いけど、

生涯配偶者を支えるべきというモラルを守りながら、

暮らしていくほうが

マシかもしれない、

この支配から逃れたら、

自分はどう転んでいくのかわからない」

と思い込んでいることが多いということです。

 

それは、自己愛性人格障害者が

何度も何度も

「お前にはモラルがない」と教え込んでいる

結果でもあります。

 

被害者は、逃げたいという自分の心さえ

「そんなに甘えていたら本当に

自分は存在価値のない人間になってしまう」

と、逃げたい=甘えだと考えていることさえあります。

 

それは、ターゲットが、幼少期にでもなんでも

「モラルを守ることでしか、自分を押さえ込むことでしか

褒めてもらえない」

生活をしてきていたら余計そうなるでしょう。

 

モラルを守ることでしか、

自分の存在意義を示すことが出来ず、

本来の自分の意思決定など何の意味もない・・・

と親や自分にとっての権力者に言われて

育ったなら、

その人の人格は「モラルを守ること」でしか

保てないという感覚のまま

生きていくことになります。

 

そこに自己愛性人格障害者から

「お前って、こんなに辛い自分を

見捨てていくの?

子供に片親を失わせるの?

それで平気で暮らしていけるの?」

なんていわれると、

 

「やっぱりこの選択は、

自分の気の迷いなんだ・・・」

と自分の人格否定を

被害者自ら行うことになります。

 

自己愛性人格障害者のターゲットとなる人はこのように

「何がなんでもモラルを守ることのほうが大事」

という考えではなく、

「そういう人格」で生きてきた人であり、

他人の傷や自分が非常識なことを行おうとしている、

ということにとにかく敏感で、

 

被害者は配偶者から逃げる、

ということさえ非常識なことであり他人に迷惑を

かける、

それなら・・・と

自分から逃げない道を選び、

どうせ逃げられないなら・・・と

この道が正しいのだと必死に思い込もうとするのです。

 

ですから、

いくら逃げたほうがいい、と言われても

被害者はいやそういうことじゃないと否定します。

 

被害者自身も、本当は逃げたほうがいいということを

分かっているのです。

 

しかし、モラルや常識というものに

脅かされ、行動できないでその場に留まることを

選んでしまう。

それが、洗脳の正体です。