「怒り」は伝播する

怒りというのは、

非常に簡単に、そして確実に伝播・

連鎖していくものです。

 

いち会社員が、上司に怒られたとします。

そして怒られた会社員は、自宅に帰ると

散らかった部屋を見て子供に対して怒鳴り散らします。

「なんでこんなに散らかしているんだ。

全然気が休まらないじゃないか」

 

この会社員は、普段は散らかった部屋を見ても

「どうせ子供が散らかしたんだから

後で片付けさせればいいか」

「妻にやらせておけばいいか」と自分の中で

処理しますが、

その時はどうも虫の居所が悪く、

散らかった部屋を見て普段よりもイライラしてしまうような

状態でした。

 

妻は子供に「ちゃんと片付けようね」と言いながら、

「(きっと仕事のストレスが溜まっているんだわ)」

と解釈します。

 

きっと仕事のストレスが溜まっているんだ、というような

解釈の仕方に対して、

「え?」と疑問に思うような人はいないでしょう。

 

それくらい、怒りの矛先を誰かに変える、

そしてそれを「怒りを発しやすい誰か」に変えるというのは

非常に容易なことで、

日常生活でよくあるパターンだということです。

 

上司に怒られたことで腹が立ったから上司に

言い返す、というのはあり得るかもしれませんが

あまり現実的ではありません。

上司に言い返すと、自分が不利になることが予想できるからです。

 

自己愛性人格障害者も、

本来は自分を抑圧し続けた監護者に対しての

怒りを抱えているのですが、

多くの場合は監護者に対してではなく

その抑圧されてきた怒りをパートナーに対して向けたり、

子供に向けたり、社会に向けたりするものです。

そして親に対して相当な怒りと恨みを持っていることに、

なかなか気が付かない場合も非常に多くあります。

 

「親のことなんか大嫌いだ」と言っている自己愛性人格障害者でもなお、

その怒りや恨みを適切に認識していないことだってあるのです。