周囲が無能な人間に感じる

基本的に、周囲が無能であるとか

無知である、愚鈍であると考えるのは

「自分をどうにかしてくれない怒り」からです。

 

人は自分が無力であると考えるとき、

その自分自身への卑下を軽減させるために

「いや、無力なのは自分ではない。

自分はこれほど辛い思いをしながら努力しているのに、

それを他人ごとのように感じている周囲のせいだ」

と感じます。

 

それはすなわち「自分のために

他人は何かを施すべきである、それが人として

当然なのではないか、

自分だったらそうするのに」という

優越感にもつながる思考なのですが、

そういう優越性には気が付きません。

それよりもまず、この不快さを誰かがとってほしい・・・

と自立できていない人間は思います。

 

自立できていない人間というのは、

自立しているという感覚がどういうものか

分かりません。

一人で暮らしていれば、社会的に強い立場に

ついていれば、あるいは優秀な大学に行き優秀な成績を収め

周りから賞賛を得られていたら、

それは誰にも甘えていることにはならない、

というような安直な思考に陥りがちです。

 

ところが精神的な自立は果たしていないので、

自立できていないゆえの「周りがどうにかしてくれるはず、

むしろどうにかすべき」という依存や期待を

周りにしてしまい、

周りの人間が自分のために動くべきであるという

考えにその人自身が振り回されてしまいます。

 

その結果、周りは自分のためには思っているように

動いてくれず、むしろ「あなたを大切に思っています」

というような人間ほど

そう言う割にはこの不快感をどうにもしてくれず

(思い通りに動いてくれず)、

「口だけでみんな無能だ」

と感じ続けるほかない状態になるのです。